モンゴル高原の文化に触れるパオ(ゲル)
モンゴル高原の移動式住居
夏休みも半ばとなった8月8日、かねてより展示準備を進めていたパオ(中国語名 モンゴルではゲル)の展示が開始された。
このパオは、中国浄宗学会の浄空法師より、鳩山由紀夫ご夫妻に寄贈されたものである。
鳩山由紀夫理事長より、寄贈を受けた友愛は、国際交流事業の一環としてこのパオを展示し、外国文化に触れる機会を提供することとした。
友愛山荘の庭、テニスコートよりに設置された2基のパオは、木立のもとですっかり周りの風景にとけ込んでいる。
それでいて異国情緒が充分に感じられる、独特の存在感を放っている。
友愛山荘に新しく登場した「友愛ホール」と「パオ」を、是非訪れていただきたい。
パオ到着までの道のり
鳩山由紀夫理事長が、中国を訪問のおり、かねてより親交の深かった中国浄宗学会の浄空法師とパオの中で数時間、話し合いの時間をもった。
この際パオの作り出す空間が、話し合い、考えをまとめるなどには、独特の効果を生みだしていると感じた鳩山由紀夫理事長が、「パオの中は落ち着いていいですね」と感想を述べたところ、浄空法師から「そんなにお気に召したのなら、プレゼントしましよう」という、まさに「ヒョウタンから駒」の話があり、その実現が急テンポで進んだ。
その後、鳩山由紀夫理事長ご夫妻から、友愛で役立ててくださいと、本協会への寄贈の話があり、理事会はこれを受けることを承認した。
国際交流事業として展開
それから約2カ月後、長い船旅を終えたパオの「材料」が、軽井沢友愛山荘に到着した。
パオの到着を受け、理事会でその使途を協議した。
結果、外国の文化に直接触れることのできる良い機会だから、広く多くの方に観ていただきたい。
子供たちにも外国の文化を体験して欲しいとの意見があり、国際交流事業としてパオの展示をすることとなった。
場所は、軽井沢友愛山荘敷地内と決まり、公開開始は、夏休みの始まりを目処とした。
夏休みの始まる頃に公開開始をと、設置作業を開始したが、乾燥したモンゴル高原とはかなり条件の異なる軽井沢では、その後の保全の事も考えた土台作りが必要であった、軽井沢は、時期的に重機使用が禁止されているため、手間のかかる作業となった。
組み立てに四苦八苦
パオの組み立ては、丁度「友愛ホール」の建設を担当していた(有)樹林が引き受けてくれることとなった。
とはいえ、どのように組み立てるのか、どれがどの部分にあたるのか皆目見当がつかない。
「材料」と一緒に送られてきた「組み立て方DVD」を何度も観て部品と順序の見当をつける。
一つ一つの部品を、芝生の上に広げて確認する。
移動を前提として作られているパオは、実に良くできていることが解った。
重心のかかり方にも工夫が凝らされていて、担当した(有)樹林の宇佐美社長は、「建築力学の理に適った造りになっている」と感心していた。
土台を平らにするため、砂利を敷き、座った時にゴツゴツしないようにと砂で覆う。
そこに竹矢来のような、伸び縮みする枠を置き、天井となる丸い木製の輪を、弓の様な梁で支えていく。
一つ一つの部品は、かなりの重さがあるので、簡単そうに見えるが大人が4、5人で支えることが必要だ。
さらに周りを囲うフェルトの布、これもかなりの重さがある。
防水の布を掛け、またフェルトでと幾重にも布を重ねていく。
ロープで締めあげ、やっと一つの組み立てが終わった。
体験パオと資料室パオ
2つ目の組み立ては、要領がつかめたので、早く進んだ。
一基を体験用に、中に入ってくつろげる空間づくりをする。
天然素材のシートを敷き、座布団変わりのスツールを備えた。
もう一基は、併せて贈られたモンゴル地方の民俗衣装、生活道具などを展示するための資料室とすることにした。
こちらは9月末ころに資料の展示が始まる。
出来あがった2つのパオは、緑の木々に囲まれ、全く違和感なく収まっている。
何処を見ても珍しく、なるほど良くできていると頷くことが多々ある。
子供たちにとっても良い体験になることだろう。
- 組み立てを担当した宇佐美さん親子(両脇)と鳩山由紀夫ご夫妻
- パオの骨組みが出来上がる。周りの竹矢来状の物は、伸び縮みする
- パオを地面からの湿気から守るためまず砂利を盛り上げ砂を敷いた
- 天井と梁の木々を支えているのは、外周の柵。つなぎは革ひも
- パオの天井。この丸い枠を、周りの弓のような木が支えている
- パオの内部から外を見た様子。二重扉はそれぞれ内と外へ開く
- パオには扉が付いている。外からの装飾性のある物と内扉の2枚
- 紺と白のすっきりした意匠のパオ。こちらは体験パオとして公開
- オレンジ色と白の優しい雰囲気のパオ。こちらは資料展示室となる
- パオと一緒に贈られたモンゴルの民族衣装を手に鳩山由紀夫理事長
- 出来上がったパオの内部。紙の紙縒で織った敷物を敷いた