第31次植林訪中団 遼寧省北票市にて最後の植林活動実施
日中緑化交流基金による植林活動終了
緑の山々を描いて地元学生達と皆で植林
2019年5月21日(火)から24日(金)の4日間、第31次植林訪中団が中国遼寧省北票市を訪れ、植林活動を行った。
2001年から約20年間続けられたこの植林活動は、今回の北票市の活動を以て終了した。
日中緑化交流基金(通称小渕基金)によるこの植林活動は、100億円の資金を以て始まったが、活動を継続するための新たな資金が導入されず終了となった。参加する日本国内の団体からも、中国側からも継続の希望が強く寄せられ、関係各位も様々な努力を続けていたのだが、資金の導入がないところから終了の止むなきに至った。
今回の北票市は第四期にあたり、第一期から第三期は鳩山由紀夫理事長も参加して植林した、当財団友愛にとっても思いの深い場所である。また、永年カウンターパートとして力を尽くしてくださった中国国際交流中心の洪桂梅副主任の故郷でもあり、思いも強い。
北京から新幹線で到着した瀋陽からマイクロバスで6時間、北票市に到着。翌朝またマイクロバスに揺られて3時間、現場に着いた。
地元の学生達、ボランティアの方々が大勢待ち受けていてくださった。
毎年強風の中、起工式の式典を行った記憶があるが、今年は快晴、気温34℃、空が眩しいほど青い。
全員で苗を植える。乾燥地域なので、植えるとすぐにたっぷりの水をやる。小学生の子どもたちもバケツを持って走り回り、次から次ぎへと苗に水を運ぶ。
大きく育て、元気で育ての思いは、皆の共通の思いである。
10年後、今は土埃の舞う土色の山が、緑に覆われる日を信じて、最後の木を植えた。(羽中田記)
緑の一帯一路
− 植林事業の終結にあたって −
最高顧問 川手正一郎
日本政府の小渕基金による中国での植林事業は今回の北票市で、そのすべてを終了しました。
2001年1月16日から始まったこの事業は、中国での生態系保護と人間交流による真の日中友好に大きな成果を齎したものと確信します。
国と国には国境はあるが人の心と緑に国境はない。人間は全て平等。相互尊重、相互理解、相互扶助は全人類共通の目的であり、使命です。
2001年以来、今日まで中国の皆さんと友愛が行った植林事業の具体的成果は、植林面積3,781,400ヘクタール、植樹5,797,323本、政府助成金514,545,969円となりました。また、この間、植樹祭に参加した中国の皆さんは2万名以上と想います。
ちなみに第1回の植林は2001年1月16日でしたが、その場所は広西省チワン自治区、柳州市来賓県でした。参考までに小生の日記を見ますと、
1月16日
前夜24時10分、柳州空港着。ホテルは京都賓館。午前2時まで地元全青連の方々と夜食会。
今朝は7時起床。8時30分ホテルを出発。
柳州市の人口は88万人、大きな都市。植樹祭はここから60キロ先の来賓県。朝から雨、凸凹の土の道。揺れが酷く、車の天井に頭がぶつかる。植林地は紅水河上流。木は全くない砂漠の台地。上から見下ろすと紅水河に大きな船が停まっていた。台地の一番高いところに祭事の舞台が設えてあり、笛や太鼓で賑やかに出迎えてくれた。
参加者は地元の青年男女1500名。竹を植える由。式典終了後、用意された長靴に履き替え、泥の中での植樹。竹は土砂崩れを防ぎ、泥を流さず砂防の役割を果たすとの説明がありました。
11時式典開始。12時30分植林終了。
14時から16時来賓県の皆様との歓迎昼食会。16時15分〜17時、職業高校見学。17時15分〜19時20分県庁にて地元青年団体との交流及び討論会。その後21時まで夕食会。21時来賓県を出発。荒れた道路。24時過ぎホテル帰着。
日記を読むと当時の状況が鮮やかに甦り、懐かしく、多くの事が思い浮かびました。
また植林地は一度の訪中で2か所の植樹祭もあり、延べ40ヵ所と推定されます。
それにしても最初の頃は想像もしていなかった満18年間31回もの植林事業の継続は、振り返りますと夢のようにも映ります。そしてお世話になった全青連の皆様、関係各位のご指導ご支援に対し、心から感謝と御礼を申し上げるとともにこれからの中国が緑輝く大地となりますよう祈ります。
植林の最初の頃は、広大な中国大陸の生態系保護という壮大な目標に大変だなと思っていましたが、中国の多くの方々と出会い、中国の人々の心の優しさがやがて満開となり、中国は素晴らしい緑の楽園になると確信した次第です。
小渕基金の植林事業は終わりましたが、中国での植林事業は中国国内はもとより、日本からも多くの団体、企業が率先躬行しており、われわれ友愛も新たな独自の課題が提起できればと念願しております。
願わくばユーラシア大陸を緑の一帯一路で繋ぎ、関係各国の人々に益々、潤いと安住の大地となるよう期待します。
31回の植林事業終了にあたり、長い間、植林事業に参加できました喜びを心から光栄と存じます。そして、これも偏に全青連や友愛の皆様のご指導の賜であり、心から感謝と御礼を申し上げ、植林事業の結びの言葉といたします。
ありがとうございました。
- この上ない好天、照りつける太陽のもと、関係各位と友愛植林訪中団、ボランティアで参加の学生たちが記念撮影。遠くに見える山は、数年後緑に覆われ、爽やかな木陰と自然の恵みをもたらしてくれるだろう
- 川手常務理事(右)と洪桂梅副主任が、最後の植林に精をだす。二人とも万感の思いを抱いて
- 定評のある川手常務理事の挨拶も、これが最後。かみしめるように一言一言に聞き入る
- 気温34℃、抜けるような青空、陽炎がもえ空も山もまるでゴッホの絵のようにうごめいていた
- 給水車からバケツで苗に水を運ぶ。子どもたちも精一杯走りまわる。地元の方々の期待も大きい
- 訪中団の川手祥右さん(左端)も、地元の学生達と力を合わせて苗木を植えていく。今回は穴掘りも
- 子ども達が苗木を支えてくれている。そこに乾いた土を掛けていく。そして水やり。大きく育てと祈る