懸け橋 エヤップ友好50周年記念訪問 友好関係合意書調印
~新たな歴への第一歩 先人の尽力に敬意~
核拡散防止に関するシンポジウム ウィーン市長主催レセプション出席
6月12日(金)から6月25日まで、(第一陣12日~19日/第二陣15日~25日)友愛とオーストリア勤労青年連盟(エヤップ)の友好50周年を記念して、友愛訪墺団がウィーンを訪問した。50周年記念式典を始め、多くの行事に参加、友好の絆を強めた。エヤップとは新たに友好協議書を作成、今後も友好関係を続けて行くことが確認された。鳩山由紀夫理事長は、読者に自分の言葉でお伝えしたいと自ら報告を認められた。読者の皆さまにも、その雰囲気を味わっていただけるよう、写真と共に掲載し、報告とさせていただきます。
訪墺団団員名(敬称略・順不同):鳩山由紀夫・鳩山幸・川手正一郎・戸澤英典・高橋啓三・島崎照代・三ツ石潤司・本島阿佐子・ヨズア・バルチュ・原俊子・川手祥右・高橋佳大・羽中田元美(事務局)・河口ミヒャエラ(通訳)
日墺の小さな懸け橋を育てたい
—— 友愛理事長 鳩山由紀夫
エヤップの「おもてなし」に感謝
私は「おもてなし」は日本の誇るべき文化と思っていました。ところが、私ども友愛を迎えてくださったエヤップ(オーストリア勤労青年連盟)の方々の心配りは、日本の得意芸が真っ青になるくらい素晴らしいものでした。まずはウィーンの空港に着いた時から空港を離れる瞬間まで、身をもって友愛を示して下さったエヤップのみなさんに心から感謝を申し上げます。
クーデンホフ・カレルギー伯の薦めで始まりました友愛協会とエヤップのお付き合いは今年で満50年、エヤップのご招待を受けて伺った十四名の友愛のメンバーたちは、それぞれ「夢のようなウィーン」の日々を満喫したことと思います。私にとっても、政治家時代にはあり得なかった、ゆったりとした解放感を味わうことができ、人生のオアシスの一週間でした。
泊まったホテルはハプスブルグ皇帝が狩猟の館として使ったシェーンブルン宮殿の正面にありました。もちろん、宮殿の中に入り、マリア・テレジアが使用した部屋などを見物もしましたが、人混みが激しいので適度で切り上げ、それよりも広い庭を散歩コースにして楽しませてもらいました。
国連機関CTBTO(核実験禁止条約機構)訪問
ウィーンにはいくつもの国連機関があります。時間があれば伺いたいと申し入れておりましたら、土曜日にも拘わらず、CTBTO(核実験禁止条約機構)を視察させていただき、ブルキナファソ出身のゼルボ事務局長が丁寧に応対して下さいました。
世界中の放射能測定器から時時刻刻の値が入ってきており、3・11の時にもあっという間に放射能が世界中に拡散していく様子が見られたそうです。
土曜の午後は美術史博物館で、中世の画家のタッチとしては珍しいので好きなルーカス・クラナッハの絵を発見し、一人で興奮していました。
オペラハウスでドンジョバンニ鑑賞
夕刻はオペラハウスの隣のホテル・ザッハーで、エヤップのシュスラー名誉会長ご夫妻と共にサーモントラウトの豪華な夕食をいただきました。さすがにここで生まれたザッハトルテの味は格別でした。
その後、ドンジョバンニを観て、歌唱力に感激。描写も激しく、オペラでここまでやるのかと、またもや興奮の一日でありました。
ウィーン郊外での一日
日曜はシュスラーさんのお嬢さん(エヤップ事務局長)の案内で、バスでウィーンから西にドナウ川沿いに向かい、ゆったり流れるドナウ川を眺めながら、お城で昼食、「生きていて良かったぁ」と。バスは更に奥に入ると、上半身裸の鍛冶屋のおじさんの出迎えがありびっくりしましたが、彼に教わりながら、妻はトンテンカンと叩いていました。夕食後、白夜の中で地元独特の吹奏楽を聴き、中世の衣装を纏った夜回り隊の一員に加えていただくなど存分に楽しみ。ホテルに戻ったのはそろそろ翌日になる頃でした。
核軍縮に関するパネルディスカッション
翌日のメインイベントは青年たちとの核軍縮に関する討論会でした。午前中に、竹歳誠在オーストリア大使を大使館にお訪ねし、午後から一路会場のある街に向かいました。とにかくその会場の素晴らしいこと。クロースターノイブルク修道院の一室で行われましたが、その修道院にはオーストリア大公の冠など900年にも及ぶ貴重な文化財が陳列されていました。もったいなくもその一部屋で、オーストリアの軍縮局長クメント氏などとの間で討論会を行いました。
私からは、核兵器保有国が核を捨てることはなかなか進まない、憎しみの種をなくす努力をすることが大切であり、友愛を広めることが有意義であるという趣旨の話をいたしました。若者たちが熱心に質疑をしてくれたことに感激しました。
クーデンホフ・カレルギー伯の母青山光子の墓に献花
火曜はクライマックスを迎え、午前中にクーデンホフ・カレルギー伯の母青山光子(墓石はMitsuみつ)の墓前に、それぞれ思いを込めて花を添えてお参りをいたしました。今回は供えられていませんでしたが、日本人は醤油が好きだろうと、観光客が醤油を供えることが多いと伺いました。同じ墓地にエヤップの初代会長のブッフヴィーザー氏の立派なお墓の部屋もあり、そちらにもみなで花を添えました。ひと月ほど前にブッフヴィーザー会長のご夫人が亡くなられたと伺い、併せてご冥福を祈りました。 お昼はホテル近くの有名なレストランで、ターフェルシュピッツという牛肉の煮込み料理をいただきました。牛肉を骨つきで長時間煮込んだスープは絶品でした。幸などは4、5杯お代わりをしていたようでした。
友好50周年記念式典 ―懸け橋―
友愛協会とエヤップとの50周年を祝う記念式典は、寄宿舎の立ち並ぶエヤップの敷地内で行われました。初代会長のお嬢様や50年前をご存じの方など、ゆかりの方々がお見えくださいました。エヤップのペルコビッチ会長方と友愛協会理事長の私との間で、“Preserving Bridges”と書かれた、両団体の協力の合意書に署名を行いました。その合意書には、「両者の友愛の協力」の方法として、両団体の情報の交換、若者交流や文化イベントなどの社会奉仕プログラムの展開、両団体が協力する第三国への貢献事業などを行いたいと書かれていました。ここまで期待をされていることに有難い思いを抱きながら、友愛協会の未来に向けて、責任の重さを感じたところです。故中嶋信行理事をはじめ、両団体の交流に力を注いで来られた先輩諸氏に敬意を表します。継続は力なり。そして未来に向けて日墺の小さな架け橋を大切にしなければ。
ウィーン市庁舎へホイプル市長訪問
水曜の午前中はウィーン市庁舎にて、ホイプル市長ご招待のレセプションをしていただきました。本来はフィッシャー大統領がお招きくださることになっていたそうですが、急きょドイツに旅立たれたとのことでした。現在、EUはシリアなどからの難民問題とギリシャの債務問題を抱えているので、しばしばトップ会談が行われているようでした。自信満々のホイプル市長は、自分より市長職の長い市長は13世紀にはいたようだが…などとご機嫌で、予定の時間をはるかに超えてお付き合いをくださいました。
返礼晩餐会開催
シュテファン大聖堂などの観光やショッピングを少しの間楽しんだ後、最後の夜は私が主催する返礼の晩餐会を、大聖堂をガラス越しに眺めることのできる素晴らしいイタリアンレストランで開きました。みなさんこのレストランは初めてと仰っていましたが、料理もおいしく大層気に入っていただけたようでした。友愛協会の一行には、ドイツ歌曲関係者も数名おりましたので、和気あいあいのところで、彼らからオーストリアと日本の双方の歌の披露があり、盛り上がりを見せました。事務局の羽中田さんから抹茶のサービスも。
ハプニングはと言えば、通訳の女性が討論会の直後に心筋梗塞気味になり入院をしたことでした。ここでも今回の訪問を取り仕切ったビンマー専務理事がそのきめ細やかさを発揮し、病院に連れて行ってくださったので事なきを得ました。彼女はその後快方に向かったと伺い安堵いたしましたが、彼女がいなくなった後半は、急きょドイツ語を話せるドイツ歌曲の先生方に助っ人として頑張っていただきました。先生方に感謝です。
健康と言えば、川手常務理事の元気なことには驚きました。散歩の道すがら、川手理事とエヤップとの協力を含め、友愛協会の今後について相談いたしましたが、具体的に何をするか考えていこうと言うことになりました。七日目の朝、私どもはサンクトペテルブルグで行われていた経済フォーラムに出席するために、一足先にウィーンを発ちました。ウィーンを離れた瞬間に、時計が通常の動きに戻ったようでした。
- シェーンブルン宮殿の見事な手園。遠近法を利用し、遙かに続いているように見える
- マリア・テレジアイエローと呼ばれる黄色の城が、真っ青な空に映えて見事な美しさを誇っていた
- CTBTOゼルボ事務局長と。土曜日にも拘わらず、丁寧に案内してくださった
- 世界中から送られてくるデータ、情報を瞬時に表示。世界のどこで、放射能濃度が上がったのか解る
- CTBTOの取り組んでいる問題について、詳しく解説を受ける。核実験が無くなることを目指して
- ゼルボ事務局長を囲んで、懇談。友愛の精神で、世界中から核兵器を無くしたいと鳩山理事長
- 細かい研修を終え、一同で記念撮影。全ての情報が集まり、分析されている様子に、感心した
- ウィーンにある国際機関の一つCTBTOの前で記念撮影。日章旗の前を選んだのだが…風がない
- ウィーンには多くの国連関連の本部、ウィーン支部がある。万国旗がたなびく広場は、平和の象徴
- ウィーンの有名なホテルザッハーで夕食。見事な調度、素晴らしい料理、流石は名店とうならせる
- ホテルザッハーのVIP待合室。時空を超えて、中世の貴族になったような気持ちにさせてくれる
- オペラハウスの桟敷で、濃厚なオペラを鑑賞。日本人観客から鳩山元総理だと声があがる
- 五つ星ホテルで食事。古きヨーロッパの雰囲気を満喫。名産のワイン、杏のデザートに舌鼓
- 思わず全員がワーと声を挙げた、逞しい鍛冶屋さんが上半身裸でお出迎え。古い製法を守っている
- 村の青年達が、ステップも軽やかに踊りながら歌って歓迎。小川のせせらぎと鳥の声が調和する
- 中世衣装に身を包み、街を一回り。夜回りといっても九時を回ってまだ明るい街で、タイムスリップ
- 在オーストリア竹歳誠大使を訪問のため日本大使館へ。奥様にチョコレートの店などの情報を頂く
- 荘厳で華やかな佇まいのクロースターノイブルグ修道院。広大な敷地は、手入れが施され見事な庭園といえる。院内の展示物は、世界的にも価値の高いもので、歴史を物語る。貴重な場所を見学できた
- 核兵器拡散防止に関するパネルディスカッションは、歴史的絵画に囲まれた一室で行われた
- ウィーンの高校生の、核兵器に対する認識の高さに驚かされた。国の取り組みを考えさせられた
- 豪華で落ち着いた雰囲気の会場。三十年来という暑さには閉口したが、それを上回る熱意に感動した
- 日本から同行の大学生も、資料提供などを通じて、現地学生と交流。修道士の衣装も見事であった
- 青山光子の墓に献花。立派なお墓の立ち並ぶ、眺めの良い丘の上。全員で真っ赤なバラを捧げた
- エヤップ初代会長のお墓にもお参りした。お墓というより、小さな一軒家の雰囲気で立派なものだ
- 友好協議書にサインを済ませ、鳩山理事長(写真右)、パルコビッチ会長(写真左)と記念撮影
- エヤップが用意したサイン帳にメッセージを添えて鳩山理事長が署名。次ページに全員が署名した
- 会場の前で、団らんのひととき。古くからのエヤップ会員も集い、和気藹々の雰囲気が
- 記念式典の六月十六日は、川手常務理事の誕生日。エヤップからのサプライズプレゼントに感激
- お土産の甚平を羽織ってご機嫌のホイプルウィーン市長。迫力のある話し振りに、圧倒される
- ウィーン市庁舎の屋根に輝く、金色のエンブレム「騎士の像ラートハウスマン」がプレゼントされた
- 重厚な造りの市庁舎レセプションルーム。日章旗とオーストリア国旗が飾られて
- シュテファン大聖堂の美しくも力強い迫力。ハプスブルグ家の墓所であり、ウィーンの観光名所
- シュテファン大聖堂を横に見るレストランで、返礼晩餐会を開催。理事長の挨拶に皆笑顔で応えた
- ドイツ歌曲コンクールの審査員の先生方による、混声合唱団。俄仕立てとは思えない見事な調和で
- シュスラー名誉会長の執務室。ブルキナファソの領事館も兼ねる、治外法権特殊な空間となっている
- エヤップの正面玄関で。平和を願う古い舌(ぜつ/教会の鐘の音を出す部分)が飾られている