Activity2018年度の活動内容

奨学金対象 講演感想文「私にとって友愛とは」
表彰式開催 一位呉菥さんは、流暢な日本語でスピーチ

入賞作品3位3名の全文紹介

4月15日(日)北京の二十一世紀飯店において、「友愛講演会」感想文コンテストの表彰式が行われた。
講演会は、昨年11月に実施され、北京理工大学・北京語言大学・中央民族大学の学生が参加。この内、北京理工大学日本語学科の学生を対象として、上位入賞者に奨学金が贈られる。また、入選者全員に、賞状と記念品が贈られた。
鳩山由紀夫理事長、川手正一郎常務理事、羽中田元美事務局長がそれぞれ賞状と記念品を授与した。
前号に続き、3位を受賞した3名の作品を紹介します。全文本人から寄せられた文章を原文のママ掲載しております。

実施会場には北京理工大学の学生が早くから集まっていたが、渋滞の影響で、代表団の到着が1時間以上遅れてしまった。鳩山由紀夫理事長は、挨拶に立ち、遅れたことを詫び、全員の感想文について、内容も日本語見事であると大いなる評価を述べた。この事業の次回は、北京語言大学学生を対象に実施される。

友愛と尊重
毛 仁言/二年生

先日、鳩山由紀夫先生の友愛についての講演を聞いた。初めて、自分の身近な面からだけでなく世界の立場に立って「友愛」という言葉の意味を多角的に理解でき、深く感動した。先生の「友愛は両者の信頼関係によって成り立つ愛で、言い換えればお互いの人格を尊重すること」という定義に強く共感したためだ。
なぜこんなにも鳩山先生の説く友愛に共感したのか考えてみた。それは、今年の夏に制定された「中国視聴ウェブ番組考査規則」によって、同性愛に関する番組が放送禁止になったことに関係している。
多くの人々は、なぜ中国はすでに精神病の一つであるとはみなされなくなった同性愛を禁じるのかと反対した。友愛の観点に立てば、同性愛番組を禁じる規則はLGBTの人々の人格を尊重していないことになる。一方、この規則に反対する声はLGBTの人々を尊重し、異性愛者にも同性愛者にも平等に愛や権利があると訴えている。この規則制定とほぼ同時期に、ドイツは同性カップルが結婚できるようになり、台湾も同性愛を合法化し、日本でも同性カップルへの住宅ローン政策ができたと聞いている。中国は他国への資金や技術援助などを通じて世界経済の発展に貢献している。確かにこれは友愛の一つの形である。しかし、国内のマイノリティグループへの理解と尊重という形の友愛の精神を持つことも不可欠だと思う。
また、鳩山先生が言うように、組織と組織、国と国の間にも友愛があるべきだ。国家間に友愛というある種の「愛情」があるからこそ、世界の平和が保たれると思う。しかし、自国の利益だけを考え、他国のことに配慮しない国もある。例えば、最近、アメリカのトランプ大統領は一方的にエルサレムをイスラエルの首都だと正式に認定した。これは、イスラエルとパレスチナ間の政治や外交問題への干渉であり、相手を尊重する友愛ではない。友愛のない国家間の関係が、果たして平和を生み出すことができるのか疑問に思う。
私たちはまだ大学生だから、国際関係は自分たちとは関係のないことだと考える人がいるかもしない。しかし、視野を広げて友愛の観点から世界情勢を考えることも必要だと思う。同時に、日々の生活を通じて身近なところから友愛を実践していくことも大切だ。
鳩山先生の講演を聞いて、友愛の最も大切な精神は相互尊重という悟りであるとつくづく思った。それは、子供のころから身につけていくべき素養の一つなのではないかと思う。

私にとって友愛とは
張 莹/三年生

友愛とは、一体どういう意味なのでしょうか?先日、鳩山由紀夫元首相の「友愛・平和」についての講演を聞いて、感銘をうけました。それをきっかけにして、友愛について自分でもいろいろ考えました。すると、今まで気づかなかったのですが、実は、友愛は以前から私にとって、大切な意味があるということがわかりました。
子供の頃、私にとっての友愛とは、友情でした。友達はお互いに助け合い、尊重しあいます。それは友愛の形の一つだと思います。
私は大都市上海で生まれ育ちました。一人っ子なので兄弟もいないし、両親は仕事で忙しくて、いつも一人で寂しかったです。そんな私の心を癒してくれたのが友達でした。平日は一緒に遊んだり、おしゃべりしたり、学校に通ったり、友達はいつも私のそばにいました。毎日、放課後に、「また明日」とお互いに声をかけあったのですが、学校がある平日は必ず会えるとわかっているのに、翌日にまた会えたときの嬉しさは格別でした。家に帰っても、休みの日でも、友達とは永遠に一緒にいられるのではないかと思いました。友達の優しさも笑顔も昴のようにぴかぴか輝いて、寂しい私の支えとなって、心を暖かくしてくれました。喧嘩も時々しましたが、いつもすぐ仲直りしました。いつでもそばにいて、お互いに助け合う私と友達の関係は、当時友愛という言葉こそ知らなかったのですが、まさに友愛の気持ちとして幼い私の心に深く刻まれました。
18歳で成人し、大学生になったあと、私の友愛に対する理解は少し変りました。今の私にとって友愛とは、人間にとって必要な精神であり、一致団結することです。その団結は、相互理解、相互尊重、お互いに助け合うという思想をもとに生まれたものです。
人と人の間に、友愛精神はよく見られます。「友愛は友人の間に存在するだけではなく、見知らぬ人々の間にも友愛は存在すべきだ」と思います。アリストテレスによると、「人間は社会的な生物なのだ」そうです。換言すれば、人間は一人で生きられないのです。中国には「団結は力なり」というそれを表すことわざがあります。一人の力は弱いけれど、集団になれば強くなる、という意味です。ですから、人々の間に友愛が存在してきたからこそ、人間は今日まで生きているのです。友愛が存在しない世界は、まさに月のない夜、世の中は暗闇になるでしょう。同じような考えは、古代中国の孔子にも見られます。孔子も「仁」、「愛」という思想を使って友愛の重要性を大いに強調しました。今、この友愛の思想は世界に認められ、益々重視されています。
私も常にこの「友愛の原則」を心に記し、この考えを実践しています。大学1年生になってから、学校の主催するボランティアに参加して恵まれない地域の子供たちに授業をしました。私はこの友愛の思想を子供たちに教えてあげたいと思うのです。個人の力は小さいけれど、子供たちの成長に役に立てれば、と思い、大都市育ちの私には、最初は少し辛い環境でしたが、頑張って子供たちと生活を共にし、全力で授業をしました。
今、私には小さな夢があります。「国々の間に友愛の原則を広めて、一緒に世界の平和を守る」ということです。世界の平和を心から祈っていますので、その実現のために、私は友愛の理念を堅持し、より美しい世界のために頑張りたいと思います。

私にとっての友愛とは
班 宇識/四年生

友愛とは何か。一見、膨大な意味を含む語だと思えるが、今年の夏休みに参加した交流活動での日本人の大学生との交流から、友愛について私なりに考えた。
それは日中交流基金と中日学生連盟の共催で行われた交流活動だった。日本で大手商社などの企業を訪ね、日本人の学生と一緒にディスカッションし、課題に取り組んだ。中国と日本で連携して番組を作る提案をしたり、文明堂を見学して中国と日本のお菓子文化を比較考察したり、以前ならば考えたこともないようなことに、精一杯取り組んでいた。その傍ら、一緒に料理を作ったり、夜遅くまで懇親会をしたりした。私たちが帰国する日、皆涙くみ、「また会おう」と言って名残を惜しんだ。
日本人大学生の何人かは「班ちゃんが日本語が話せるのに、私は中国語が全然話せない」と悔しそうに言い、夏休みが終わってから中国語の勉強を始めてくれた。
印象深かったのは宮城県から来ためぐちゃんの、活動のホームページに寄せたメッセージだ。
中国は近いようですごく遠い国で、そこに住む中国人とは一生理解しあえないと思っていた。優しくて温かくて素直な人たちと関わりを持たずに暮らしてきた二〇年がもったいなく感じるぐらい素敵な人たちに会ってよかった。
これは、活動参加者全員の思いを代表していると思う。中国と日本は距離近い。共にご飯の時に箸を使う「お箸の国」だ。「カンパイ!」の発音も中国語とよく似ている。なのになぜ「近いようですごく遠く」と感じるのか。今回のような大学生間の交流ばかりでなく、他分野での交流も一層進めばいいと思う。やはり相互理解したい気持ちを、両国の若者が持つことが大切だ。それは相互尊重・相互扶助につながる。必ずめぐちゃんのように中国人を理解してくれる日本人も出てくるだろう。公式な政府間関係が芳しくない「近くて遠い両国」の現在、それはたとえれば雨が降り続いているような時期だ。そんな時期に友だちになれた私たちは「雨中の友」、きっとこれからも真の友であり続ける。
中国の若者によく知られている「心有多大、様的世界就有多大」という言葉がある。自分の心の大きさをもって、自分の世界の広さを変えていくということだ。私は異文化についての理解と好奇心を「呼び出す」不思議なものが「友愛」だと思っている。友愛によって、異文化に関する見聞を広め、私たちの文化との間に永く堅固である橋を作りたい。

友愛 活動詳細
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