Activity2018年度の活動内容

一帯一路フォーム参加報告

成都・4000年の歴史 東北大学 4年 安達陽菜

こんにちは。東北大学4年生の安達陽菜と申します。先月15日から21日に中国で行なわれた「一帯一路フォーラム」に、日本代表として参加して参りました。
今回のプログラムは、中国国際青年交流センター主催で行われました。ベラルーシ、ブルガリア、エジプト、ドイツ、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、パキスタン、韓国、ルワンダ、シンガポール、トルコ、ウガンダ、ウクライナ、ウズベキスタン、ベトナム、日本の18カ国から30人の代表が集まりました。参加者たちは、主に中国四川省の中心都市成都に滞在して様々な施設を見学するとともに、影絵や切り絵、書道などの伝統文化に触れました。
成都に滞在した5日間、私たちは、市の施設や、海外自動車メーカー工場などの産業施設、パンダ繁育研究基地や都江堰などの観光地を巡りました。
その中で、成都という都市の基本情報が得られたのが、プログラムの序盤に見学した成都計画展示場です。
現在の成都は、中国の国際的拠点として発展しています。しかし、国際空港や道路、天府新区などの大規模な開発の一方で、環境との調和を考えたまちづくりも行なわれているとのことでした。展示場では、成都の現在と未来だけでなく、過去についても学ぶことができました。成都は、最古のシルクロードの起点であり、世界初の紙幣が作られた地でもあるそうです。現在の川に四方を囲まれた形は、唐宋の時代にはすでに成立していたとのことでした。4千年以上の人間の歴史がこの地にあると思うと、自然と背筋が伸びました。施設のガイドの話や、ともにこの展示場を訪問した現地の学生の意見を聞くと、成都を誇りに思う気持ちや成都の未来への期待が強く感じられたことも、強く心に残っています。
自由時間に街中を歩いている時にも、印象的な出来事がありました。
胸に「一帯一路・日本」と書かれた名札を下げていた私とドイツ代表に、現地人と思われる男性が話しかけてきたのです。「あなたたちの国は一帯一路に含まれていないのでは?」と不思議そうな顔をしていました。
一帯一路構想が現実になった時、日本がどのような位置で関係することができるのかはまだ不透明です。そのような状況にもかかわらず、今回私たちを日本代表として招致してもらったことに改めて感謝するとともに、中国や関係国との絆を一層深めるためにはどうすべきか考えるきっかけになりました。
今回のプログラムの趣旨は、一帯一路構想の詳細を学ぶことではなく、中国や成都に親しみを持つこと、そして中国や関係国との間の若者の交流や協力をどう推進していくか考えることだったように思います。実際、一帯一路構想についての言及は、成都のプロモーションビデオ内の十数秒間や軽い概要説明程度でした。一方で、経済や、ビジネス、文化など様々な側面から各国の代表が意見を述べたり、グループごとに交流を深めたり、成都大学の学生ボランティアと交流したりする時間が豊富に与えられました。
生まれ育った土地や文化、信条など、多くの違いがある私たちでしたが、活動の中で笑い合ったり意見を認め合ったりする際に、そのような違いは障壁にはなりませんでした。今回のように国際社会の中の個人間のつながりを作りそれを伝えていくことが、私にできる国際協調の第一歩ではないかと感じました。
最後になりますが、公益財団法人友愛には、このような素晴らしい機会を与えていただきましたこと、感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

人と人の交流 早稲田大学 4年 渡邉 健

今回の一帯一路訪中にあたり、自分の中である目標を設定した。それは「できるだけ多くの人とコミュニケーションをとる」ことである。「現代版シルクロード構想」とも呼ばれる一帯一路。それをテーマにした今回のプログラムの中で果たすべきことは、まさに人と人とのダイレクトな交流によって相互理解を深めることだと考えたからだ。7日間にも及ぶ長いスケジュールを一つ一つたどっていてはきりがないので、得たことや学んだこと、目標がどれほど達成できたかなどに軸を置いて報告する。
初日、北京についた私たちは中国国際青年交流中心の方々に出迎えていただき、シンガポールと韓国からの参加者と合流して宿泊先へ移動した。ホテルで初めて今回のプログラムの参加者全員が顔を揃えた。西はドイツ、南はウガンダ。「シルクロード」という言葉からは到底想像もつかないようなスケールの大きさに驚く。それぞれバックグラウンドが全く異なる不思議な集団が形成された。早速イントロダクションから始まり、文化体験といくつかのアクティビティを行った。
コミュニケーションを大目標に掲げておきながら、スケール感に圧倒されてなかなか言葉も出てこず、いかにも「日本人」という様子でたたずんでいると、決まって誰かが興味を持って話しかけてくれるものだった。彼らの多くは「日本」や「日本人」のことをよく知っているし、同時にさらに知りたいという気持ちが非常に強いのだと感じた。私自身を顧みたとき、他の参加者の出身国について何か知っていることがあるかと言えば、その限りではないと感じ、異文化学習の不足を恥じた。
2日目からは成都へ移動しての活動。成都の長い歴史や、それに立脚した近年の目覚ましい成長について、さまざまな資料館や史跡、ときには企業などを訪問しながら学んだ。食事は毎食全員で円卓を囲んで四川料理をいただくのだが、覚悟はしていたものの想像以上の辛さにまた一つ驚いた。この食事の時間が、他の参加者や講師の方々、また現地のボランティア学生らとの交流にもってこいであった。食べきれないほどの料理をつつきながら、食材や食習慣について、宗教的禁忌についてなど、本当に数えきれないほど多くの話をすることができた。食事と会話がワンセットなのも万国共通だとしみじみ思った。
成都での6日間では、抱いていた中国のイメージが大きく変化した。イメージ通りだったのは公衆トイレや人混み、大気汚染くらいのものだ。例えば電子決済。話に聞いてはいたものの、個人商店や屋台にまで幅広く普及しているのには驚いた。そして、細かいところまでよくお金をかけていることも感じた。
行程中に成都市の都市計画博物館を訪れたが、体育館ほどのスペースに成都市全域の精細なジオラマが展開され、光と映像で街の発展がよくわかる仕組みになっていた。また、どんな小さな雑居ビルや駐車場にも必ず受付と警備員が常駐し、訪問客をさばいていた。外資系企業・商店の多さも驚きだった。街中のどこを歩いても、欧米や日本の商店・レストランを見つけることができた。
行程を通してさまざまな知識を得て、日本では絶対にできないような経験をすることができたが、何よりも素晴らしかったのはやはり「人との交流」であった。ジョークからシリアスな話題まで、多様な考え方を持つ人同士で深く話し合える機会を持てたことが、自分の今後の人生にとって大きな宝となった。公益財団法人友愛を始め、関係各位、すべての方々に改めて感謝したい。

友愛 活動詳細
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