Activity2022年度の活動内容

2022年度OEJAB派遣第二陣 派遣員が語る「期待と抱負」一挙掲載

2年越し、3年越しの参加者も派遣実現の喜びを
先輩後輩入り交じっての総勢12名

新型コロナウイルスの影響で、2019年を最後に、実施が中段されていたOEJAB派遣は、2019年度以来3年ぶりに実施が復活した。既に9月には第一陣がオーストリアを訪問、2020年・2021年に派遣員となった者にとっては待ちに待った派遣実施である。派遣実施が出来ない中、募集は毎年続けており、応募の数も年々増加し、全国各地から集まった精鋭12名が第二陣として今回の派遣となった。各人に期待と抱負を綴ってもらったので、今回紙上で一挙掲載、全員分をご紹介する。(掲載順不同)

「待っていた三年間」に学んだ友愛を基に
東京医科歯科大学歯学部歯学科5年 小倉 佑太

はじめに2020年度OEJAB派遣員としてご選抜頂き、これまでにない貴重な経験をさせて頂けますことを大変光栄に存じます。友愛のOEJAB派遣生としてオーストリアに向かい、10日間を通して外務省や難民支援の現場を訪問し、現地の情勢に触れることでオーストリアの人々が抱える問題とその解決策について考えて参りたいと思います。
またウクライナにおける戦争難民問題、CTBTに対する理解など未だ日本では日常に浸透していない問題があります。そうした課題に直面している国が何を考え、どう対応しているのか。そして日本がこうした問題に直面したとき私たちはどうするべきか。より多角的な視点から物事を見つめ自分なりの思考を確立するための場にもしたいと考えております。
併せて今回は派遣員団長としても責任のある立場を務めさせて頂きます。高い志をもつメンバーと協力し、この派遣事業がオーストリアと日本の架け橋となるよう努め、派遣員全員が目標達成の場となるよう最大限努力して参りたいと思います。
OEJAB派遣生に選ばれてから3年が経ち、本年ついに待望のオーストリア訪問が実現することとなりました。しかし、コロナの影響で活動が制限されながらもこの三年間は、友愛の勉強会や交流会で友愛のメンバーとして活躍してこられた多くの方とお話を伺う機会を頂きました。またユニオンのメンバーと意見交換をすることができました。
「友愛」について話を聞く中で、どの方も人と人との繋がりを重んじておられ、自己完結させないという点がとても印象的でした。誰かが困っていたら手を差し伸べ、自分が困っていたら自然と誰かに支えてもらえる環境、その相互扶助の中で生み出される調和がまさに「友愛」というものなのだと強く感じました。またそこに自分なりの独創性を加えることでさらに革新的な創造やこれまでにない新たな発想が生み出され、さらに洗練された活動へと繋がるのではないかと考えるようになりました。私にとっては、必要な三年間だったと感じています。今回の派遣を通して「友愛」とは何か、そしてどのように「友愛」の活動を広げていけるかを模索して参りたいと思います。

応募時からの変化と変わらない想い
九州大学法学部卒業 田島 桃子

大学3年時に派遣員として、友愛ユニオンの一員に加えていただいてから早三年。その間、私は学生から社会人となり、自分の周りの環境や物事の捉え方の変化、自分自身の成長も含め、大きな変化を感じています。そのなかで、難民問題に関して現地の人々の声を知りたいという想い、自分はどう社会と関わり、課題解決に貢献していきたいのかという緒を模索したいという、本派遣に対する期待は変わらず堅持しています。
難民受け入れにあたっては、政策、経済、外交等、様々な要因が複雑に絡み合っており、一筋縄ではいかない問題ですが、根底にあるものは、国民の難民の人々に対する考え方・意識ではないかと考えています。それは、異国の他者をどのように捉え・接するか、ということであり、まさに自分と他者との関係性を模索する、友愛の精神に通ずるものではないかと考えるようになりました。ウィーンの人々と難民としてウィーンで生きる人々が自己と他者をどのように認識し、関係性を築いているのか、その点を模索したいです。
また、本派遣では仲間と共に学び、経験を共有できることにも心躍らせています。いつも刺激を与えてくれる友愛ユニオンの仲間が同じ物事に関して、どのように感じ・考えるのか。互いの受け止め方を共有していくことで、新たな気づきが得られると考えています。
今日まで渡航を調整し、機会を与えてくださった皆様に心より感謝申し上げます。
3年の時を経て変わらない想いを胸に、上記テーマへの学びと共に、ウィーンの空気を肌で感じ、現在の自分を見つめ直し、今後の目標を新たにする派遣とします。

三年越しのオーストリア派遣に向けて
東京医科歯科大学医学部医学科6年 龍 舞香

2020年度にOEJAB派遣学生として選抜していただきました東京医科歯科大学医学部医学科六年の龍 舞香です。 本当にオーストリアに行ける日が来るのだろうかと気を揉む数年間でしたが、2023年3月やっと派遣が実現し、とても嬉しく思います。パンデミックの状況下でも学びの場の提供や派遣事業を続けようと策を巡らせてくださった事務局の方には大変感謝しております。
本稿を書くにあたり2020年に私が寄稿していた抱負を読み返してみると、「自分より恵まれない環境の人を助けたい」というようなことを書いていました。当時の私は、国際協力は支援する側とされる側という構図で成り立っているという考えのもと、支援が必要な人に手を差し伸べることこそが正義であり友愛であると信じていました。しかし、派遣の延期期間中に得た様々な学習機会や友愛メンバーとの意見交換を通して、国際協力は、支援する側とされる側という構図ではなく、双方にとって好循環であることが重要であるという考えに至りました。私たちもまた支援をしていく中で自国に還元できる学びが得られるということです。
難民としてオーストリアで生きる人々と彼らを受け入れるオーストリア国民・政府との交流を通じて、難民がどのような支援を必要としているのか現地の人たちと一緒になって対策を考え、実行に移すだけでなく、そこで得られた知見を日本にも還元できる人材になりたいと思います。
また、この研修を通して世界を相手に働く意義と魅力を真に見出し、帰国後は世界平和を真に願い共に志す仲間が一人でも増えるよう、ここで得た経験を積極的に発信していきます。

二つの目標を掲げて
東京大学大学院工業系研究科卒業 佐野 翔子

まず初めに、OEJAB派遣の一員に選抜頂き大変嬉しく思います。私は以下の2点を抱負として本派遣に臨みたいと思います。
まず1つ目に、新しい価値観に溶け込むことで自分の解釈の幅を広げることです。世界には私が未だ出会ったことのない人や考え方が多く存在します。日々の生活の中でも発見はありますが、全く違う文化に触れることで気づきが顕著になると思っています。全てを知ることは難しくとも、自分と違った当たり前で生きている人がいることを心においておくだけで無知によって誰かを傷つけたりするリスクを減らせます。今回訪れる街の人々、風景といったあらゆるものにも素直に向き合い、得られた感覚を大切にしたいと思います。その中で、日々の生活に隠れている大事な存在に気づくかもしれないし、新しく大事にしたいものに出会えるかもしれません。帰国後の活動や周囲の方々への関わりに生かせる心の豊かさを体得する機会にしたいと思います。
2つ目は、難民問題を今回の派遣を通してじっくり考えることです。恥ずかしながら、私は難民問題に特に精通しているわけではありませんでした。ただ、今回そんな自分の意識を変えるきっかけとなるのがこの派遣だと思います。当事者ではない私が、この課題に取り組むのは正直そんなに簡単ではないし、自分の生活を一生懸命生きること自体はとても素敵なことだと思います。ただし、世界では何が起こっているのか、私なりの言葉で感じたことをきちんと言語化して届けることが一つの価値提供のあり方かなと思います。
上述の抱負を胸に有意義な派遣にできればと思います。

異文化との出会いから生まれる新たな視点
名古屋大学情報学部4年 田内 和久 ラザルス

この度オーストリア派遣の学生として選んでいただきました、田内和久ラザルスと申します。
私にとってオーストリア訪問は2020年のCOVID-19の世界的な大流行が始まって以来初の海外への渡航となります。アフターコロナの世界へ向けて一歩先へ踏みだしているヨーロッパではどのような日常生活が送られているのか、流行以前の生活に元通りになっているかなどを実際に体験できる非常に貴重な機会だと考えております。またこの体験を通じて日本でのアフターコロナに向けて個人や社会がどのように動いていけばよいかについて考えられる重要な機会でもあると思います。
今回の派遣員としての訪問で、私は学部時代に大きな関心を抱いた難民問題に関して直接自らの交流・経験を通じて、講義やインターネットでは外面的にしか見ることができなかった問題を内側からの本質的な側面から垣間見たいと考えております。特にCOVID-19の流行以来、多くの物事がオンラインで行われるようになり、実際に経験できることの貴重さを痛感しました。百聞は一見に如かずの言葉の通り、この派遣を通じて新たな視点や考え方を持つことができるようになりたいと考えております。また帰国後もただ一つの経験として終わりとするのではなく、私が関心を抱く難民問題に関して認知度の低い日本において、より多くの人々に難民問題の現状を知っていただき理解を深めてもらえるように、情報学の知見を用いながら自分の現地での経験や学んだことを世の中に発信できるように取り組みたいと考えております。

道標を掴む一歩となれ
東北大学医学部医学科4年 女鹿 笑奈

この度は友愛OEJAB派遣員に選んでいただき、ありがとうございます。
コロナ禍における渡航規制等により、海外留学の断念を余儀なくされ、海外経験を積むことすら難しいこれまでの大学生活でした。いただいた貴重なチャンスを存分に活用し多くの事を吸収したいと思います。
大学ではグローバルに活躍する医師を目指して日々医学と向き合っています。各国のC0VID-19対策一つをとっても分かるように、世界共通の問題であっても場所が変われば見え方が変わるということを強く感じています。現地の方々と積極的にコミュニケーションをとり、オーストリアで生活する人々から見える景色を学ぶと共に、日本国内で培った自分自身の認識を見つめ直す機会にしたいと思います。
私が思う、このプログラムの大きな特徴は、難民問題や核問題を含む社会問題の解決や、より良い外交関係の構築に最前線で挑んでいる場所を訪問できるという点です。かつて英語ディベート部に所属し、国内外の社会問題について日々議論していた時には机上の空論であったそれら問題に、実際に立ち向かっている場所を訪れ学ぶことができるのはとても楽しみです。「友愛」の精神をもってこれら世界の難題に立ち向かい、解決への道標を掴むべく、現状に触れ知見を深めたいです。
昨年12月の事前勉強会で出会った派遣員の皆さんは、それぞれ異なる背景を持って集まっており興味を惹かれる人ばかりでした。友愛の精神を大切に、共に充実した10日間を過ごせることを楽しみにしています。

自分に何ができるか
東京大学教養学部文科一類2年 堆 美優

私は今回、オーストリアで移民・難民に関わる人々やその活動をこの目で見ることで、長らく興味を持って学んでいる難民問題についてさらに理解と知見を深め、学業や将来の活動に活かしたいと考えています。自力では訪れられないような機関への訪問、そして難民の方々との交流は、友愛からの派遣だからこそ経験できることに違いありません。
難民問題は、日本に住んでいてはなかなか現状の深刻さに気づくこともできず、我々日本人は世界各国が有する責任についても看過しがちだと思っています。私は将来、枠組みの部分から変革を起こし、日本において難民の方々が支援できるような仕組みを作れる、そんな人材になりたいです。
大学では国際関係論を専攻しており、今後は難民・移民問題について専門的に学びたいと考えています。派遣員として現地で感じたあらゆる想いや経験を、帰国後はその探究に生かしていきたいです。私は、本派遣の終了後大学の交換留学プログラムを通してドイツのミュンヘン大学に一年間留学します。今回の派遣員としての経験がドイツでのさらなる学術的理解を助けるものとなり、自分、ひいては日本の将来的な国際貢献に生かせるものとなるように、一つ一つの活動から多くを吸収し、一回り成長して帰ってきたいです。
最後に、この場をお借りして私たちの派遣を可能にしてくださっている全ての皆様に心より感謝申し上げます。このような素敵でまたとない機会に恵まれた奇跡と、友愛ユニオンという仲間とのの出逢いに感謝し、目一杯楽しんで帰ってきます!

交流を通じて見識を深める
東北大学工学部4年 藤田 脩椰

この度国際交流事業OEJAB派遣員に採択いただきました、東北大学工学部四年の藤田脩椰と申します。採択いただきましたことを光栄に思うとともに、このような貴重な機会を得られることを大変ありがたく思います。
今回の派遣プログラムでは、訪問先機関での交流を通じて異なる文化的背景を持つ方たちの融和の実際について肌で感じられるものと期待しています。
私の所属する研究室には、発足から現在に至るまでに数多くの留学生・研究員が訪問・在籍してきました。手前味噌を承知で申し上げれば、弊研究室では多文化共生が実現されてきました。この背景には、密なコミュニケーションを図る習慣があること、異なる文化に対して寛容な雰囲気が醸成されてきたことがあろうと考えています。しかし難民問題に目を向けたとき、彼らが飛び込まんとする社会において同様の状況を実現することは必ずしも容易とは限りません。
弊研究室での例はあくまで一例に過ぎず、規模、歴史的背景、文化的寛容度、つながりの強さなど、様々な異なる属性を持つ社会においてどのようなアプローチが実現可能であるか、あるいは通用するかということに関して述べるには、私はまだまだ世界に対して管見であります。今回の派遣プログラムにおいては、実際の交流を通じ見識を深め、より多くの社会において融和を実現する方法論について考察を深めたいと考えています。 また、共に派遣される他のメンバーとも交流を深めそれぞれの志を実現するための切磋琢磨の機会にできるよう、日々全力で過ごします。

自らの課題を解く鍵を見つけたい
東京医科歯科大学医学部医学科3年 弟子丸 香歩

この度は、OEJAB派遣学生に選抜していただきありがとうございます。
私は高齢者のQOL(生活の質)改善に強い関心があります。高齢者が健やかに生活できるような医療を開発するために大学ではロコモティブシンドロームに関する研究に取り組んでいます。今回の留学ではOEJAB運営の高齢者施設を見学し、高齢者の方と対話することで、どのようなケアを必要としているのか、弱い立場の方にどのように寄り添えばよいのか、という問いへの答えを見つける鍵を得たいと考えています。またCOVID-19流行下の対応や高齢者の社会生活上の問題点が日本とどう異なるのかを学びたいと思います。帰国後は自大学のプログラムでインペリアルカレッジロンドンへ半年間研究留学予定ですので、オーストリアでの学びを踏まえてbench-to-bedside(研究を臨床へ)な研究をさらに発展させていきます。
また、難民問題にも医学と同様に関心があります。以前米国へ留学した時、ベネズエラ人の友人が出来ました。その友人は、内戦により母国へ帰れなくなり難民になるかもしれないと強い不安に苛まれていました。それ以来、難民問題に関心を持つようになりましたが、実際に難民の方と接する機会はありませんでした。今回、OEJABにて難民の方と直接交流することは大変貴重な機会です。彼らの声を丁寧に聞き対話し、自分に何ができるかを真摯に考えたいと思います。
OEJAB訪問のプログラムを通して、共に留学する仲間と協力しながら多くのことを学び吸収したいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

友愛OEJAB派遣員としての抱負
東京外国語大学国際社会学部4年 ニケライ ベッヘナーゼ

この度はOEJABオーストリア派遣事業の派遣員として採用していただき、ありがとうございます。派遣員として今回研修に参加するにあたって目的とすることと、その抱負について書かせていただきたいと思います。 私は応募作文でも書かせていただいた通り、平和構築活動に興味があります。大学で「平和紛争論」という授業を履修していたことをきっかけに、紛争地域で生活した人々の生き方や考え方をより深く理解したいと思うようになり、本プログラムに応募させていただきました。UNCHRの2021年時点において「紛争や迫害などが原因で家を追われた難民数」は約2710万人とされていて、2015年以降、オーストリアでは15万人からの難民認定の申請を受けていることが報告されています。オーストリアの難民の中で特に多いのがアフガニスタンからの難民です。私は、アフガニスタンの公用語であるペルシア語(ダリー語)を話すことができるため、この強みを活かすことで、現地の難民施設訪問の際は英語を介さず、よりスムーズな意思疎通ができると考えています。
卒業論文では「外国人労働者と言語学習制度の国際比較」を研究テーマの一つとして取り扱いました。研修では実際に、言語学習と就労を行っているアフガニスタン出身の少年たちにオーストリアでの言語学習制度はどうなのか、仕事と語学学校の両立について、さらには就労の機会を得るまでにドイツ語を学ぶにあたってどのような効果や苦労があるのかを、現地に住む彼らの視点から直接お話を伺うことができたらと考えています。そして、帰国後はこれらの経験を自身の研究や、国際交流事業の場へつなげたいと考えています。
派遣員として、これらの目的・抱負が達成できるよう、現地では精一杯頑張りたいと思いますので、今後とも応援の程、宜しくお願い致します。

 
友愛 活動詳細
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