Activity2021年度の活動内容

世界から若者の声――機関紙『友愛』掲載

世界から若者の声――機関紙『友愛』掲載

友愛ユニオンの活躍など、当財団でも若者の活躍は目覚ましい。これまでの事業活動の中で、連携した数多くの若者から友愛に寄せて思いを綴った文章を送っていただいた。また、現在世界に飛び出し活動している友愛ユニオンのメンバーからも、近況報告の文章を送っていただいた。 友愛読者にご報告し、若者の活動にそして思いに拍手を贈っていただきたい。第1番目は派遣・受入事業で協力しているオーストリアOEJABから、2番目は中国から「友愛小論文コンテスト」で2020年度2位を受賞した張さんからのメールを、ご本人の了解を得て掲載した。3番目は、大学を卒業した友愛ユニオンのメンバー成田葵さんが、ケニアで暮らしていると聞き、近況報告をお願いした。本人が撮影した写真と共にご紹介する。

オーストリアから:国際交流の大切さ ニコラウス・ペトロンスキ

私はニコラウス・ペトロンスキと申します。
現在ウィーン大学で「東アジアの経済及び社会」というテーマのマスターコースに所属すると同時にOEJABでは日本、特に公益財団法人友愛の関連業務を担当しております。
今回機関紙『友愛』のために何か書けないかというお話をいただき、大変光栄と思っております。国際交流及び国際分野での繋がりについて私なりの考えや感想を述べることができ、嬉しく思っております。
大学での勉強そしてOEJABとの仕事のお陰で様々な国の方々と出会える機会が多くあります。
実は在学中に始めて、自分の国際交流に対しての深い関心に気が付きました。
子供の頃からヨーロッパ内を旅し、高校卒業後大学で日本学を勉強し始めました。しかし、本当の意味での国際交流、つまり自分と違う文化を持っている友人との意見交換を経験したのは日本での一年間の留学中でした。
東京にある明治大学での留学中、日本を始め、他のアジアの国やアメリカやヨーロッパの人々との出会いがあり、現在まで続く友情関係もたくさん結ぶことができました。
留学生時代を振り返ってみると、自分の世界観(思考の世界)がその時に経験したことによって強い影響を受け、変わったと感じております。
一方で新しい考え方を知ること、そして他方で今まで慣れた環境から離れることにより、世界をまるで新しい光で見ることができ、古い偏見をなくすことができました。それにより、他人が何を感じるか、何を考えるかもっと深く理解できるようになり、一般的に人生に対して前向きになることができました。
特に帰国後、元の慣れた環境に戻ってから、自分の変化に気が付きました。
ちょうどその時にOEJABでインターンとして働き始めました。2019年に友愛から派遣された学生達のための訪問プログラムの準備にかかわりました。
そのインターンシップは私にとって全く新しい経験であり、たえずミスを起こさないように緊張していました。しかし多くの親切なOEJABの同僚、または先輩のリーサー・フィシンガーのお陰で何とか無事にこの職務を果たすことができました。心配していたのは、スケジュール上の問題が起こらないか?公演やレクチャーは学生達のために面白いだろうか?日本からいらっしゃる方々はどういう方々でしょうか?仲良くになれるか?……… しかし、それらの心配は全く必要ではありませんでした。学生達とすぐに溶け込んで、訪問プログラムも大きな問題もなく無事に終わりました。手前味噌になってしまうかもしれませんが、学生の訪問は成功で終わったと感じておりました。一緒に過ごした一週間半は私自身にとっても想像していたより大変楽しかったし、そして私自身オーストリアの新しいところを、今までとまた別の視点から見ることができました。
一つの例を申し上げると、OEJABの施設のハウス・グライフェンシュタインでの難民の若者たちとの出会いでした。
その頃にオーストリアのメディアは難民の話題を良く取り上げていましたが、自分自身がその問題にかかわることはあまりありませんでした。学生達と一緒に施設を訪問し、その時に難民の若者たちと色々なお話ができて、大変深い印象を受けました。今まで考えなかった、全く新しい視点も考慮することになりました。
その次の年、2020年から大学での勉学と同時に、正式にOEJABに勤めることになりました。また友愛から派遣される学生達に会える、新しい友情関係を結ぶことができるのを楽しみにしておりましたが、コロナ禍のせいでまだしばらく待たなければなりません。しかし現在の新規コロナ感染者の減少を見て、希望を持って、今回予定している学生交流をきっと実現できることを信じております!新たな出会いに、心弾ませてお待ちしております。

中国から:二位の賞状をいただいて 張若玥

・・・メールによる投稿・・・
突然のご連絡、大変失礼いたします。 北京語言大学の張若玥(チョウジャクゲツ)と申します。 このたび、2020年度友愛小論文コンテストで二等賞を頂き、誠にうれしく光栄に存じます。まず、各審査委員および他のコンテスト関係者に心から感謝の意を表したいと存じます。 新型コロナウイルス感染症の大流行は、「友愛」の力を再び感じる出来事だと思います。その一つは、貴財団のホームページで、鳩山由紀夫理事長が中国の状況が最も厳しかった時期に中国の国民に心よりのお見舞いを伝えているビデオを拝見しました。とても感動いたしました。 日本語を勉強しているうちに、中日両国の友好往来、その時間の長さ、規模の大きさと影響の深さは、世界文明発展の歴史に類を見ないものであることがわかりました。 このたびの小論文コンテストを良い機会にして、少しでも中日関係に役立ちたいと、ますます思うようになりました。 日本語学習者としての私は今後、この賞を励ましとして、友好の信念を固め、絶えず友情の種をまき、中日友好を大樹に育てることに貢献していきたいと思います。 最後に、貴財団の益々のご繁栄をお祈りいたします。 北京語言大学日本語学科三年 張若玥

ちなみに、 私は北京語言大学と帝京大学のダブル学位のプログラムに参加しましたので、帝京大学経済学部経営学科に編入されました。しかし、日本への新規入国が停止し続いているため、いま家でオンライン授業を受けます。 日本への入国が許可されるとき、ぜひ日本の社会や文化を自分の目で見て、体験していきたいと思います。 日本で勉強している間もずっと中日友好の事業に力を入れたいと思います。 感染症の早い収束をお祈り申し上げます。 事務局の皆様もコロナに気をつけて健康にお過ごしください!

ケニア・ナイロビから:私の親友ローズマリー 成田 葵

「大学に受かったのはどうしてだと思う?」とケニア人の親友・ローズマリーに聞かれ「90%は自分の努力、10%は自分の運かな。」と私は答えると、「私の場合は全く正反対。90%は神が導いてくれて、10%は努力。」と言いました。当時ケニアに来たばかりの私は、彼女がなぜそう考えるのか全く理解できませんでしたが、最近少し分かってきた気がします。
……………
こんにちは、オーストリア派遣二期生(友愛ユニオン)の成田葵です。
私はこの3月に大学院を卒業し、8月から社会人として働く予定であり、この空いた期間を利用して現在はケニアの首都・ナイロビでインターンを行っています。コロナのPCR検査を提供するラボで働いており、ウェブサイトを作る等ウェブマーケティングの業務をしています。
ナイロビに来て三カ月が経過しましたが、私の中で最も大きな収穫は「私と同世代の一般的なケニア人はどのような生活をしているのか」を垣間見られたことでした。
……………
私が会社で仲良くなったローズマリー(写真1)は、PCR検査の検体を採集してる25歳の女性です。給料は月6万円程度。これでも彼女は、ケニア人の中では給料をかなりもらっている方です。私はオフィスまで、毎回Uber(タクシー)で片道約200円かけて通勤していますが、ローズマリーはマタツと言う乗り合いバスに乗って片道約30円でオフィスに行きます。お昼は、私はカフェで約600円のランチを食べますが、ローズマリーはKibandaという屋台のような店で100円のランチを食べます(写真2・3)。買い物は、私はスーパーに行きますが、ローズマリーは市場で買い物をします。家は、私はオフィスから車で15分のところにある月3万8円のアパートを借りていますが、ローズマリーは郊外の月1万2円の家に住んでいます(写真4)。
ある日、ローズマリーは蒼白な顔をしてオフィスにやってきたので、「どうしたの?」と聞くと「スマホを盗まれた」と言いました。またある日は、彼女の親友が突然解雇された、という話も聞きました。
彼女は、ケニアの一般的な水準から考えると豊かな暮らしをしているものの、突然解雇されたり、治安が良くないために盗難に遭ったりするリスクに晒されており、日本と比べ不確実性の高さを痛感しました。
そんなローズマリーの楽しみは、ゴスペルを聞いて、毎週日曜日は教会に行くこと。土曜も働く彼女ですが、唯一の休みの日曜に毎回教会に行く彼女の信心深さには、驚かさせられるばかりです。
……………
ナイロビはアフリカの中でもヨーロッパ人、インド人、中国人の人口が多く、インターナショナルな都市です。日本とほぼ変わらないクオリティのショッピングモールも至るところにあり(写真5)、ショッピングモールでの物価は日本とあまり変わりません。しかし、ナイロビ郊外にはキベラスラムという大きなスラムもあり、お手伝いさんは月一~二万円で雇うことができ、格差が混在している社会でもあります。同じナイロビという都市に暮らし、私とローズマリーは同じオフィスで仕事をしているものの、生活圏は異なっており、時々違う世界で暮しているような不思議な感覚に陥ります。
このような格差と彼女の遭遇する不確実性を体感する中で、冒頭の「大学合格に導いてくれたのは神が9割」という彼女の考え方は、合理的なのか、と思い始めました。不確実性があまりに多いと「神が全て決めている」と考える方が心が穏やかに過ごせるのではないか、と思うからです。
ケニアには社会的な課題が多く存在します。しかし、それはあらゆるビジネスチャンスが眠っているとも考えられ、実際に重要な課題を解決する会社も多くあります。例えば、調理用燃料を木炭からバイオエタノールに変えることに取組み、実際にCO2削減に大きく貢献している会社などです。そのようなビジネスに将来関わりたいと考える中で、月3~7万の給料で暮らし、これからケニア社会を担っていく同世代の彼らの暮らし・価値観を僅かでも知り得た事は宝物のような経験であると痛感しています。
この原体験と自分のやりたい事を忘れず、今後社会人として邁進していきたいと思います。

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